多くの患者を末期がんから生還させた男の奇跡のストーリー

17 歳のとき、弟の死に直面する

弟の死

私が初めて死に直面したのは 17 歳のときでした。一つ年下の弟が突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。弟は 16 歳でしたから、高校2年生のときのことです。高校2年生といえば、自分の将来について、さまざまな夢を描く年頃です。悩みも少なくありませんが、希望に満ちている時期です。〝死〟について考えるには早すぎる年齢です。そんななかで、突然倒れ、救急車で病院に運ばれました。二度と自宅に戻ることはできなかったのです。

私自身、悲しみよりも驚きのほうが大きかったのを覚えています。そして、徐々に悲しみがやってきました。初めての感情に私はどう対処すればいいのか、まったくわかりませんでした。実は、弟は6歳のときに心臓の手術を受けていました。そのとき、医師からは「 17歳の誕生日に検査に来てください」といわれていたようです。弟が手術を受けたことは、おぼろげな記憶としてはありましたが、 16 歳の誕生日に検査の予定だったとは理解していませんでした。

弟にしても、小学校1年生のときに手術をして、そのまま高校生になるまで何もなかったのですから、自分の体に異変が起きていることに気づいていなかったでしょう。ごく普通の高校2年生だったのです。彼が倒れたのは、 17 歳の誕生日の2週間前でした。あと、2週間何もなければ、病院で検査を受けて、何らかの処置を受けられたかもしれません。そうすれば……と考えると、悔しくてたまりません。しかし、そうはなりませんでした。これは運命なのかもしれませんが、家族の死は簡単に受け入れられるものではありません。自分の親が天寿を全うして亡くなったとしても悲しみは大きいはずです。

ましてや自分より年下の弟が亡くなってしまったのです。気持ちの整理ができないのも当然でしょう。何よりもつらかったのは、両親が悲しむ姿を見ることでした。自分が苦しいのは、まだ耐えることができます。しかし、家族の苦しみや悲しさは、どうすることもできません。代わってあげたくても無理なのです。特に高校生の息子を失った両親の悲しみは計り知れないでしょう。自分より子どものほうが先に亡くなるなど、親としてこれ以上の苦しみはありません。私はマザコンでもファザコンでもありませんでしたが、苦しむ両親を見ていられませんでした。

この気持ちは、患者を抱える家族も同じではないでしょうか。病気に罹って最もつらいのは、もちろん本人です。しかし、それと同じくらい、あるいは別の意味でそれ以上のつらさを家族が抱えていることも多いのです。どうすることもできないつらさとでもいうのでしょうか。弟の死に直面し、病気の恐ろしさと家族の苦しみを私は経験したのです。

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