多くの患者を末期がんから生還させた男の奇跡のストーリー

がんにかかったあるスーパードクター

がんにかかったあるスーパードクター

私自身、毎日のように、がん患者やその家族と触れ合っていますので、治療における家族の役割の重要性は常に感じているわけですが、それを象徴するような出会いがありました。患者を仮にAさんとしましょう。Aさんは、S字結腸がんを患っていました。S字結腸は大腸の一部で、直腸につながり、肛門に到達します。S字状に曲がっていることからこう呼ばれているのです。S字結腸がんは、一般的に初期の自覚症状があまりなく、見逃してしまいがちです。気づいたときには、かなり進行した状態であることが多いのです。

Aさんは、関西で眼科を開業するスーパードクターです。医師なら、すべての病気について一定の知識を持っているはず、と私たちは思ってしまいますが、そんなことはありません。医師も自分の専門分野以外のことついては、意外に知らないのです。Aさんもがんの治療については、ほとんど知識がありませんでした。ただ、三大療法を直感的に怖いと感じて、別の治療法はないかと探していたのです。そのときに知人を通じて私に連絡がありました。まずはAさんの状況がわからなければ、適切なアドバイスもできません。私はクリニックにAさんを訪ねました。クリニックを見て、私はAさんががんに罹った理由がわかったような気がしました。

みなさんは眼科のクリニックと聞くとどんなイメージを持っているでしょうか。医師が1人で看護師が2、3人という街のお医者さんを思い浮かべるのではないでしょうか。Aさんのクリニックはまったく違います。医師はAさん1人ですが、看護師は 50 人ほどが忙しく働いています。そして、毎日、診察を待つ行列ができてしまうのです。Aさんは、ほとんど休憩する間もなく、次から次へと診察をしていきます。といっても流れ作業のように診察をこなしているわけではありません。患者はさまざまな不安を抱えています。それをAさんにぶつけてきます。面倒見のよいAさんは、その一つひとつと正面から向き合い、患者の不安を少しでも解消してあげようとがんばっています。だからこそ、地元で評判のスーパードクターなのです。

Aさんは患者に多くの時間を費やしているため、自らの生活を顧みる余裕がありません。唯一のストレス解消法はお酒でした。診察を終えると、ぐったりとした体を引きずるようにして、お気に入りの店に向かいます。そして、深夜までお酒を飲みつづけ、明け方になってから、家に帰ることも珍しくありません。ほどよい飲酒は、ストレス解消に役立つかもしれませんが、Aさんのように大量にお酒を飲むと逆効果です。しかも、睡眠時間が極端に短くなるので、免疫システムが正常に働くわけがありません。さらに悪いことが重なりました。

Aさんがこんな生活を続けているので妻が愛想を尽かし出ていってしまったのです。離婚することになったAさんは、慰謝料に加え住まいも妻に渡しました。一人ぼっちになったAさんは、誰も支えてくれる人がいません。このままでは、がんと闘うことができません。事態は差し迫っています。ともかく私が支えるしかないと考えました。本物の家族にはなれませんが、私自身も娘ががんに罹った経験がありますから、患者の状態は痛いほどわかりますし、治療効果を最大限に引き出すためには、家族の支えが不可欠です。

それから私は毎週のようにAさんを訪ね、一緒に治療方法を検討したり、不安を解消したりしました。Aさんは医師ではありましたが、がんの三大療法については詳しい知識を持っていませんでした。私が実態を説明すると、とても驚いていたほどです。そもそも、Aさんは、三大療法に疑問を持っていたからこそ、私に連絡をしてきたわけですが、改めて治療の実態を知って、手術も抗がん剤も拒否する意思を固めました。

そして、ヨウ素を利用した治療を始めました。ヨウ素の効果は第3章以降で詳しく紹介しますが、その成分が単にがんに効いているわけではありません。本人が「絶対に治してやる」「どうしても治りたい」と思ったときに、ヨウ素の成分との相乗効果を発揮して、患者の体を修復していくのです。本人の意思によって、弱っている免疫システムのスイッチがオンになるのでしょう。どんなにすばらしい薬でも本人が気力をなくし、投げやりになっていては、効果は期待できません。免疫システムがオフになってしまっているからです。

本人の気力を充実させるためには、家族の支えが最も大事なのです。Aさんはひとりぼっちでしたから、私が家族の代わりになり、できるだけ支えになるようにしました。結果、ヨウ素による治療を始めて1カ月足らずで改善の兆しが見え始めました。体調は、がんに罹ってから今が一番良いそうです。もしAさんが、がんの専門医の勧めに従って抗がん剤を投与していたら……と思うと恐ろしくなります。次章からは、患者にとって最適な治療法の見つけ方、患者の気力を回復させて治癒力を高める方法などを紹介していきます。

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