多くの患者を末期がんから生還させた男の奇跡のストーリー

長女の七回忌に運命的な出会いが訪れる

長女の七回忌に運命的な出会いが訪れる

それでも、ある程度の経済的な基盤を整えるには5年以上が経過していました。そして、長女の7回忌を終えた直後に運命的な出会いがありました。がんに効果があるヨウ素製剤と出会ったのです。ヨウ素は、みなさんもよくご存じの「ヨードチンキ」にも使われている薬品です。ヨードチンキは、ヨウ素の殺菌作用を利用した消毒薬ですが、ヨウ素にはこれ以外にもさまざま効果があることが明らかになっています。

例えば、東日本大震災の後には、安定ヨウ素剤が話題になりました。原子力発電所で事故が生じると、空気中に放射性ヨウ素という成分が放出されてしまうことがあります。放射性ヨウ素が呼吸や食べ物を介して、人間の体の中に入ると、甲状腺に蓄積されます。ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料であり、人間の体にとってなくてはならないものですが、必要な量はわずかで、一日あたり0・095~0・15㎎です。過剰に摂取すると放射線の被ばくが起こり、数年から数十年後に甲状腺がんを発症する可能性があるのです。それを防ぐことができるのが安定ヨウ素剤なのです。

放射性ヨウ素が体に取り込まれる前に安定ヨウ素剤を服用することで、血液中のヨウ素濃度が高くなり、甲状腺ホルモンの合成が一時的に抑えられます。結果、血液から甲状腺へのヨウ素の取り込みが抑えられるのです。また、血液中のヨウ素濃度の大半を安定ヨウ素で占めることによって、甲状腺に放射性ヨウ素が到達する量を低くすることができます。よって、原子力発電所で事故が起きたときには、すみやかに安定ヨウ素剤を服用することが体を守ることにつながるのです。そこで政府は、2013年6月に原子力災害対策指針を改正して、原子力発電所から5キロメートル以内の地域の住民には、安定ヨウ素剤を事前配布することにしたのです。

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